うつわの特性と、購入の際にご理解いただきたいこと

使い込むうちに、風合いや色が変化していくうつわ。
古くから、「うつわを育てる」といって、その移りゆく表情を楽しむ文化があります。

うつわの表情をつくるのは、量産品には見られない、斑点や、かすれ、釉薬のムラ、濃淡、形のゆがみ等など。

歪みや、ヒビ、ピンホールなどあったりする場合もありますが、綺麗に整ったものでなく、ひとつひとつ、大きさや色味の出方、形が少しずつ異なったり、個体差があり、全く同じものがないところが、手仕事ならではの魅力です。

そういったうつわ達は、窯元や作家さんの検品を通過した商品を再度検品し、良品とさせていただいておりますので、ご理解の程よろしくお願いします。

色合い・形・大きさなどの相違については、入荷時の分類分けや、再入荷時の再撮影などによって、 なるべく実物と近いものになるように努めておりますが、閲覧環境により、実物と異なって見える場合がありますので商品説明と合わせてご確認ください。

ここでは、うつわの特性と、当店が検品する際の一定の検品基準についてご紹介します。これらの特性についてご理解いただけますと幸いです。



ピンホール

素焼きをしたとき素地に残った空気や、有機物(ホコリなど)が、焼成後に小さな穴として残る場合があり、その小さな穴をピンホールといいます。
一般的には良品扱いとなりますが、当店では表面では2mm以上、裏面では4~5mm以上の目立つものは不良品として判断しています。

※ただし、うつわの作風によっては、基準を超えていても、使用上問題がない場合は当店でも良品としています。


染み

粉引の商品は、特性上、油などが染みやすいためご使用前の目止め処理を推奨しています。
目止め方法はこちらをご参照ください。
うつわのお手入れ


鉄粉

陶器を焼く際に、陶土にもともと含まれている鉄分が窯の中で焼かれることによって酸化し、それが黒点となってうつわの表面に出ている状態が鉄粉です。
うつわの表情として鉄紛がでるようにする作家さんや窯元も多くあり、基本的には良品として扱っています。


貫入

陶磁器の表面に入る模様のようなヒビのことを貫入といいます。
貫入は模様として出す場合と、経年貫入といってうつわを使い続けているうちに自然に貫入が入ることもあります。
いずれも貫入が入り、使っているうちに変化していくことをうつわの表情としていますので、良品として判断しております。
※貫入をあまり入れたくない場合は目止めを行っていただくと良いです。


御本手

粉引や白いうつわなどにみられる、淡いピンク色の斑点やまだら模様のことを御本手といいます。このピンクは釉薬にある顔料によるものではなく、還元焼成によって現れる現象で、白いうつわに表情が生まれるため、味わいが出ます。
安土桃山時代からある表現方法で、萩焼や朝日焼などが有名です。
狙ったように出すことは難しく、一つ一つ異なって出るのが面白さとも言えます。


色むら/釉薬むら

釉薬は、手作業でひとつひとつ丁寧にかけられているため、釉薬のかかり方が均一でない場合があります。

釉薬を施す際、うつわを手で持っていた箇所に、釉薬がかかっていない場合があります。

それらの釉薬の流れた跡や釉薬溜まりも、昔からうつわの「景色」として鑑賞の対象とされていますため、基本的には良品として扱っています。


にじみ・かすれ・ズレ

印花や印判手、染付などでうつわに模様や絵付けを施す際に、作業時の力のかかり具合や焼成時の要因などにより、生じる、にじみや、かすれ、ずれなどを指します。
かすれや濃淡がある方がうつわの表情が豊かになることもあり、あえて出す場合が多くあり、これらは基本的に良品として扱っています。


釉薬はね・たれ

絵付けや染付は、職人さんや作家さんが一つずつ筆で丁寧に書き込んでいきます。
そのため、釉薬がはねてしまったり垂れてしまったりする場合がありますが、表面1mm程度のものは許容とし、良品として扱っております。


成形のゆがみ

うつわは、ろくろや、手で練り上げたり、型を使って成形していきます。いずれも伝統的で、人の手を使って成形するため、出来上がったものの形が、完全な丸でなかったり、高さや大きさが少し違っていたりと1点ずつ異なります。
ある程度のゆらぎは、うつわがもつ個性として良品判断としていますが、あまりにも個体差が大きいものは不良品としたり、個別撮影をして別商品として取り扱っております。


たたら成形の歪み

たたら成形は粘土を切り糸などで一定の厚さの板状にして、手成形する方法になります。そのため、うつわの立ち上がり具合や曲がり具合などに差が出やすくなります。
これはたたら成形ならではの特徴ですので、あまりにも個体差が大きいもの以外は良品としております。


高台のガタつき

うつわを置いたときに、釉薬のたまりや、高台の素地の状態によって、少しガタつく場合がございます。
ガタつきの大きいものは当店で削るか不良品として扱いますが、普通に置いた状態でガタつきが目立たないものは、良品として取り扱っております。
もしガタつきが気になる場合は、砥石や粗目の紙やすりなどで削っていただくときれいにお使いいただけます。


線キズ・擦れキズ

表面に縦横いずれか、5mm以上ある線キズや擦れキズについては不良品として扱っております。

※ただし、うつわの作風によっては、基準を超えていても、使用上問題がない場合は当店でも良品としています。


ヒビ・欠け

ヒビは、素地(裏)にまで侵食しているもので2mm以上あるものは、破損の恐れがなくとも、不良品として扱っています。
欠けは、3mm以上あるものは不良品とし判断しており、高台の欠けも5mm以上あり、引っ掛かりがある、使用に問題が出るものは不良品として扱っております。


フチや裏面は2~4mm程度のヒビがあってもその上から釉薬がかかって焼きしまってる場合、作風などによって良品にするものもあります。
釉薬がかかることで水分などが入らないようになっているため、使用上問題はございません。


ブク

釉薬がはじけたような穴をブクといいます。ピンホールと似ていますが、釉薬がかかっているところに出るのが特徴です。3mm以上のものは不良品として扱っております。

※ただし、うつわの作風によっては、基準を超えていても、使用上問題がない場合は当店でも良品としています。


釉薬はがれ

表面に2mm以上あるもの、または裏面に5mm以上あるものは不良品として扱っております。

※ただし、うつわの作風によっては、基準を超えていても、使用上問題がない場合は当店でも良品としています。


付着物・突起物

表面に小さな塵や石が付着して突起物になっている場合があります。3mm以上あるものは不良品として扱っております。もし気になる場合は、砥石や紙やすりで削って目立たなくすることができます。

※ただし、うつわの作風によっては、基準を超えていても、使用上問題がない場合は当店でも良品としています。


真鍮:緑青・黒い斑点

金属の特性上、緑青(銅の錆)や黒い斑点のようなピンホールができることがあります。口に入る部分にあるもの、柄の部分に2mm以上あるものは、不良品として扱っております。


木工:節・色ムラ

使用する木材の部分によって、木目や色味等も異なり、写真のような木の節も含みます。1つずつ異なる天然の木の表情として、良品として判断しております。


毎日どんどん使って、味のある《お気に入りのうつわ》で、心ゆたかにおうち時間を過ごしていただけたらうれしいです。

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