こんにちは!作家さんのうつわを販売するお店『 おうちで楽しむ陶器市 うちる 』を営む店主のタケザワと言います。
近年、やちむんの人気がすごくて、当店でも、かなりの数の作品を取り扱っています。
最近では、年に数回開かれるやちむんの陶器市を目指して旅行する人もいるほど人気です。
やちむんとは、沖縄の方言で「焼き物」のこと。
沖縄の家庭で今も日常的に使われている茶碗や飯碗、鉢や平皿などの陶器を指す言葉です。
最近では、年に数回開かれるやちむんの陶器市を目指して旅行する人もいるほど人気です。
陶器市も含め、やちむんには、年に1~2回訪れています。現地で出会った沖縄の作家さんの作品はこちらからご覧いただけます。
また、やちむんの買付けの様子についてもこちらの記事にまとめていますのでよろしければどうぞ。
以前は伝統的な紋様を用いたうつわが主流でしたが、最近は若手の陶芸家が増えたことで、洋食などにも合わせやすいモダンなデザインも増えています。
力強い絵付けと厚みが特徴のやちむんの作風と人気の作家さんをご紹介します。
目次
やちむんってどんなうつわ?
あざやかな色使い
『やちむん』の一番の特徴は、絵付けの鮮やかさと躍動感のあふれる紋様です。
色は、沖縄の青い海を彷彿させるようなコバルトブルーや、棕櫚の木、南国の植物を思わせる緑(オーグスヤ)。 またこれらの色と対になる茶色(飴)が多く用いられます。
特徴的な文様
また、のびのびとした唐草文様や、印花(イングァー)と呼ばれる紋様がうつわの上に踊ります。
他にも点打という、手描きの丸模様が乗ったものも象徴的なモチーフです。
他にもある、やちむんの特徴
ぽってりと厚みがあるものが多く、どっしりとした面構えなので、大皿にどんと盛りつけた料理が似合います。
他にも、碗やどんぶりは「マカイ」と呼ばれ、さまざまなサイズが作られています。どんぶりは、そばマカイと呼ばれることが多く、『沖縄そば』を食べる沖縄ならではだな、という感じがしますよね。
また、本土ではあまり見る機会がありませんが、抱瓶(だびちん)と呼ばれる、
泡盛を入れる容器や、カラカラという酒器など、沖縄ならではのうつわもあります。
思わず深呼吸したくなるような、沖縄のおおらかな空気をまるごと伝えてくれるやちむん。
そんなお皿が一枚あるだけで、いつもの食卓がパッと明るく華やぎます。
ここからは、やちむんの色々な作家さんをご紹介していきます。
先に商品を見たい、という方は下記のリンクから見てみてください。
では早速見ていきましょう!
代表的な窯元「読谷北窯」4人の作家
やちむんの中でも特に有名なのが、「読谷北窯」と呼ばれる窯元。
松田米司さん、松田共司さん、與那原正守さん、宮城正享さんの4人の名工による共同主催窯です。
あまり入荷も多くなく、都内のショップなどでは入荷と同時にすぐに売り切れてしまう人気作家さんたちです。
読谷北窯 松田米司さん
藍、緑、茶といった伝統的な色を使った、優しいタッチの絵付けが特徴。
手持ちの食器とも合わせやすいので、銘々皿はもちろん、カレーやどんぶりなどのごはんものを盛り付けるのにもぴったりです。
読谷北窯 松田共司さん
松田米司さんの双子の弟である共司さん。伝統的な色、紋様でありながら、はっきりとした色合いと力強いタッチが魅力的。
大きな鉢にたっぷりとおかずを持って食卓の真ん中に置くのもいいですね。
読谷北窯 與那原正守さん
沖縄の海の色を写したような、美しいペルシャンブルーの釉薬を用いた器が特徴的。
一見上級者向けに思える鮮やかなブルーには、焼き菓子などのブラウンを入れるとコントラストがはっきりして、とても美味しそうに見えます。
読谷北窯 宮城正享さん
宮城正享さんの作品は、やちむんらしいモチーフのものが多く、自然でいて力強さも感じられます。
特に使いやすさに定評が高く、食卓に並べてわかる良さがあります。
伝統的なやちむんが楽しめる作家
先ほど紹介した、やちむんらしいモチーフや、色使いを楽しめる作家さんについてご紹介していきます。
伝統的なやちむんには、沖縄が持つあたたかな気候のパワーや、陽気な気持ちを与えてもらえるような力があります。
陶眞窯
陶眞窯さんの作品は伸びやかな唐草模様が特徴的です。また、赤絵付けという赤い色の入ったうつわもあり、品のある印象を受けます。
陶眞窯は、相馬正和さんが壺屋の「育陶園」にて修行後、作られた窯です。
壺屋焼の伝統技術を守りつつ、独特の赤絵や染付け、魚紋、イッチンなど「常に新しいものを」を合言葉に新たな作品をつくり続けています。
陶芸こまがた
唐草も、作家さんが違えば、違う模様に。
奥に移っている、呉須と飴色の茶碗はデイゴの柄です。小さな楊枝立ても可愛らしいですね。
また、こまがたさんの点打ちは、小さな点が2つ連なっているもので、他にあまり見ないデザインです。
mug
mugさんのやちむんは、 落ち着いた色合いに、女性らしい絵柄、渋くて可愛いさじ加減がたまりません。
連なるドットは泡のようにも見えます。
角皿は、食卓の中に、1つ入れるとテーブル全体に動きも出て一気に上級者っぽい雰囲気が出ますよ。
漂窯
これぞ、やちむん!という感じでしょうか。大胆に施された点打は、丸もいびつで、釉薬の垂れも見られます。
力強い点打ちの表現に、元気をもらえるような気がします。
お皿の中央にあるわっかは、蛇の目と言って、お皿を重ねて焼くときにできる高台の跡。それすらも模様になってしまうというのも面白いですね。
個性的なやちむんが魅力の作家
近年、沖縄で活動する作家さんは、従来のやちむんのスタイルにとらわれず、自由な作品作りをされている作家さんが多数いらっしゃいます。
その作品は、他にはない唯一無二の雰囲気でありながらも、どこか沖縄の雰囲気を感じさせてくれる作品ばかりです。
一翠窯
鮮やかな青や、規則正し描かれた、丸模様や格子模様。
一翠窯さんの作品は、そんなハッとするような絵付けや色使いの長角皿を中心に作品を作られています。
どこかオリエンタルな雰囲気を持つ作品は、高畑さんの経験や内から湧き出るものをモチーフに作られているそうです。
ノモ陶器製作所
ノモ陶器製作所さんのうつわは、美しいオーグスヤ(緑)の絵付けが特徴的です。
ゴーヤチャンプルーなどの沖縄料理はもちろんですが、ボンゴレなどのパスタ料理なんかを盛りつけても面白そうです。
釉薬の調合から成形、仕上げ、焼成まで全ての工程を1人でこなすのだそうで、本当にすごいなと思いますね。
エドメ陶房
エドメ陶房さんは、沖縄の中心の那覇からは、車で3時間ほど離れた今帰仁というところで、窯を構えています。
自然豊かな静かな土地で描かれる花やドットの模様に心癒されます。
工房ことりの
トリがモチーフになった作品が数多くある、工房ことりのさんの作品。
まるでファンタジーの世界にいるような可愛らしい作品が目を引きます。
土の質感や、カップなどのフチに入った飴色の釉薬が器の雰囲気を締めてくれているので、食卓でも使いやすく実用性も高いです。
土工房 陶糸
陶糸さんの作品は、海や、泡、星など、自然がモチーフとなる作品が数多くあります。
手描きならではの、模様や絵付けの味わいを感じられます。
色も鮮やかで、使うときにワクワクしそうな器ばかりです。
工房双子堂
工房双子堂さんの作品をはじめてみた時は、「まさにお皿がキャンバスになっている!」と感動しました。
カラフルな絵付けは、すべて手描き。描かれる絵も毎回違うものが登場します。
アートを感じられるお皿でごはんが食べられるというのは、なんとも贅沢な気持ちになります。
南陶窯
南陶窯さんの作品は、鮮やかなペルシャブルーのうつわと幾何学な線模様のうつわがあります。
全く違う2つの方向性の作品は、どちらも個性的で、惹きつけられるものがあります。
また、カップやボウルの足が3つ足や5つ足になっていたりと、チャーミングな形も魅力です。
南陶窯 一覧ページ
工房十鶴
やちむんらしいぽってりとしたフォルムに、コーヒー豆やサボテン、ピーナッツ、ドクロ柄が描かれた、ユーモアたっぷりなデザインが個性的。
絵柄は個性的でも、色合いがブラウン系なのでふだんのテーブルに取り入れやすいのも魅力です。
こんなユーモラスなケーキ皿やコーヒーカップがあれば、お茶の時間がもっと楽しくなりそうですね。
やちむんだけじゃない、琉球ガラスの魅力
琉球ガラス、ってご存知ですか?沖縄では、吹きガラスで作られるコップやガラス製品などがあるのですが、これもとても美しい作品が多くあります。
空きビンをリサイクルして作るため、そのビンの色がガラスに入り、薄い水色になったり、黄色になったりするのも面白いです。
ガラス工房清天
ぽってりとしていて、やや厚みがありますが、涼し気な印象を与えてくれるのは、その質感にあります。
清天さんのガラスの中には、小さな気泡が混じっていて、それによって、水のような滑らかな質感を感じられます。
光に当たるとうっすら緑がかって見えるのは琉球ガラスならではです。
奥原硝子製造所
こちらもぽってりとした質感のガラスと、フチに緑や茶色の色が施されています。
またねじれたような模様が水の流れを感じられて涼しげで、夏のうつわにぴったりです。
やちむんはどこで買える?
やちむんの里
沖縄のやちむんが一堂に会する場所といえば、那覇市から車で1時間ほどの読谷村にある「やちむんの里」。
観光名所にもなっており、外国人観光客の方も数多くいらっしゃいました。
ここには、19の工房が集まっており、先ほど紹介した、北窯や、有名な工房がいくつもあります。
一軒一軒、窯を訪ねるようなスタイルで、窯ごとに特色が違うため、それぞれ見比べるだけでもとても楽しめます。
伝統的なやちむんの作品や、写真のような大きな登り窯も見ることができます。
壺屋やちむん通り
那覇の国際通りからも近くの壺屋やちむん通りでは、 45の窯元やショップ、カフェなどが並んでいます。
オシャレなお店やカフェなどもあり、そこでセレクトされているやちむんなどを買って帰ることができます。
やちむんの里まで行く余裕はない、という方はこちらに立ち寄っても楽しめますよ。
やちむん市(沖縄の陶器市)
ムーンビーチおきなわ全島やちむん市
毎年3月ごろに開催される、沖縄最大級の陶器市。
沖縄全島に点在する窯元が一同に会するため、県内の若手作家から歴史ある窯元が集い、それぞれ味のある作品を見ることができます。
会場は屋内なので、快適にじっくりと見てまわれます。
読谷やちむん市
毎年12月に、やちむんの里の近くで行われる、読谷やちむん市。通常よりも安く買えることもあって、2日で約2万人の方が訪れます。
人気の窯元の商品は、開場後すぐに売り切れてしまうこともあるため、計画してまわることをおすすめします。
やちむんが気になった方は?
それは、沖縄の自然が持つパワーと、沖縄の人の陽気さや明るさが、うつわに宿っているからなのかなと思います。
やちむんには、人の心を元気にさせてくれる魅力があるように感じます。
沖縄に行った際には、ぜひ、色んなやちむんを見てみてください。
また、当店は、”おうちに居ながら陶器市を楽しめる。”をコンセプトに、全国の陶器市やクラフトフェアから、『この人は!』と思った作家さんのうつわを取り扱い、販売しているお店です。
沖縄全土をまわって様々な作家さんを取り扱っており、今回ご紹介した作家さんも販売しています。気になった方は下記のリンクから見てみてください。
それでは、最後までご覧いただきましてありがとうございました。皆さまがよい作品と出会えますように!
おうちで楽しむ陶器市 うちる