こんにちは、おうちで楽しむ陶器市うちる 編集局のタキです。
今回は、大分県日田市の山あいで開催される「小鹿田焼民陶祭」について、イベントの魅力や楽しみ方、アクセスなどをご紹介します。
祭りが開かれる集落は、普段は川のせせらぎの音が聞こえてくる、静かでのどかな焼き物の里。
しかし、当日は全国から民陶好きが詰めかけ、とてもにぎわいます。
小鹿田焼の窯元は9軒。いいものは次々に売れていくため、できるだけ早めに行くのがおすすめです。
また、当店では、小鹿田焼や小石原焼の取り扱いもありますので、気になる方はこちらから覗いてみてください。
目次
小鹿田焼民陶祭とは?
小鹿田焼民陶祭は、大分県日田市の山深い場所にある「小鹿田焼」の里で、毎年10月第2週の週末に行われています。
小鹿田焼民陶祭
日程:2019年10月12日 ~ 10月13日
場所:小鹿田焼の里(日田市源栄町皿山)
9軒の窯元が、この日のために焼いた作品を工房や軒先、物置などにぎっしりと並べます。
「トビカンナ」や「ハケメ」といった伝統的な装飾が特徴の小鹿田焼。300年の歴史があります。
一年間働いた窯に感謝し、小鹿田焼の発展を祈るお祭りだそうです。
小鹿田焼民陶祭を楽しむポイント
当日はところせましと並ぶうつわの中から、自分だけのお気に入りをぜひ手に入れたいですよね。
祭りを楽しむために知っておきたい、いくつかのポイントをご紹介します。
祭りのために焼かれるうつわ
窯元は、祭り当日に向けてたくさんのうつわを焼きます。
普段はショップやギャラリーからの注文で作ることも多いそうで、これほどの量が軒先に並ぶのは祭りのときだけ。
さらに、窯元から直接購入できるので、価格が安いのも魅力です。。
窯元の方とのんびり話しながら、ひとつずつ手にとって、重さや厚み、模様などをじっくり感じて眺めて、選びたいですね。
モダンでオシャレな伝統装飾「トビカンナ」や「ハケメ」
小鹿田焼のもっとも特徴的なもののひとつが、うつわに刻まれたリズミカルな幾何学模様。
食卓で使ってみると、この模様が何気ない料理を絶妙に引き立ててくれます。
独特な存在感を生かしてメインのお皿としても、また、素朴で落ち着いた色合いを生かして脇役としても使えます。
これは「トビカンナ」や「ハケメ」と呼ばれる伝統的な装飾技法で、陶工がカンナや刷毛を使って、ひとつひとつ丁寧に描いたもの。
面白いのは、窯元によって表情や味わいが違うこと。その違いを比較しながら、自分好みのものを見つけましょう。
気になる窯元さん
小鹿田焼ではブランドを守るため、うつわには個人名をあえて入れていないそうですが、訪れてみるとすべての窯元に個性が感じられます。
坂本浩二窯
坂本浩二さんが手がけるうつわは、伝統装飾やフォルムが美しく、時に大胆で力強くもあります。
暮らし馴染む使い心地のよさは、これぞ民陶といえ、確かな仕事ぶりに人気が集まっています。
小皿や茶碗、得意とされる大物まで幅広く手がけておられ、有名セレクトショップとコラボするなど、新しいことにも挑戦されています。
現在は息子の坂本拓磨さんとうつわづくりをされておられます。
黒木富雄窯
当主の富雄さんと息子の昌伸さんによる窯元。集落中央にある共同の登り窯のすぐそばにあります。
伝統を守りながらも、現代の暮らしに合わせて作るうつわは、民藝に馴染みのうすい層にも人気があります。
息子の昌伸さんは若手の陶工として注目を集める一人です。
何往復かしてお気に入りを探そう
コンパクトな集落のため、急ぎ足であれば一周するのに20分もかかりません。
そのため、なんとなく気になるものに目星を付けて、何度かめぐって一番のものを選ぶこともできます。
たくさんあると迷ってしまうかもしれませんが、めぐるうちに自分の好みも分かってくるもの。
ただし、手作りのうつわはすべて一点もの。気に入ったものがすぐに売り切れてしまうこともあるため、そこは要注意です。
昔ながらの作陶風景を楽しもう
山あいにある小鹿田焼の里はとてものどかで、ゆっくりとした時間が流れています。
まるで昔の日本にタイムスリップしたかのよう。
「ギィーゴトン、ギィーゴトン」。訪れると聞こえてくる心地いい音は、川の流れを利用して陶土をつく「唐臼」の音。近づくと迫力がある唐臼は、内側から見ることもできます。
中央には大きな登り窯があり、庭先の作業場では、天日干しされる陶土が並んでいます。
全国でも珍しい、昔ながらの方法で作陶を続ける里の風景が楽しめます。
おすすめ立ち寄りスポット
小鹿田焼陶芸館
小鹿田焼陶芸館は集落の高台にあります。小鹿田焼が始まった江戸時代のものから、現代のものまで、貴重な小鹿田焼作品を展示。
小鹿田焼の歴史や作陶方法を知ることができます。小鹿田に滞在し、陶工たちと交流を深めたイギリス人陶芸家バーナード・リーチの作品も展示されています。
出典:日田市役所
山のそば茶屋
集落で唯一の食事処。手打ち蕎麦やうどん、だんご汁、鮎の塩焼きなどがあり、特に地鶏や山菜が入ったメニューが人気です。
小鹿田焼のうつわに盛られて出てくるのもうれしいですね。
小石原焼・民陶祭も合わせて行こう
車で小鹿田焼民陶祭に行かれる方は、小石原焼のある、福岡県朝倉郡東峰村(元小石原村)にも行ってみてはいかがでしょうか?
車で、約40分。小石原焼の窯元は、小鹿田焼のように固まっていませんから、車でのアクセスが必須となります。
同じトビカンナやハケメの技法を使いながら、基本に忠実な小鹿田焼と、自由な作風を感じられる小石原焼の対比を見れてとても楽しいと思います。
時期がずれることもありますが、大体近しい時期に陶器市を実施しているため、タイミングが合えば、どちらの民陶祭にも参加できます。
小石原焼 (こいしわらやき) とは
小鹿田焼のルーツでもあり、「兄弟窯」と呼ばれているのが小石原焼です。
福岡県朝倉郡東峰村(元小石原村)で小鹿田焼よりも少し早い時期に開窯し、約350年間、続いてきました。
現在の窯元は50以上。小鹿田焼と同じく「トビカンナ」や「ハケメ」などの伝統技術は確実に守りながらも、窯元ごとに独自の思いを持って、より現代の食生活に合うデザインを取り入れています。
そもそも小鹿田焼ってどんなの?
小鹿田焼は、大分県日田市の山あいで300年間、受け継がれてきた伝統的な焼き物です。
「トビカンナ」や「ハケメ」と呼ばれるモダンな幾何学模様が特徴で、和洋中、エスニック、どんな料理も不思議とマッチする魅力があります。
作陶は全国的にも珍しく、地産地消、すべて手作業で行われています。
陶土に使うのは、周囲にある土。それを清流の水を利用して動く「唐臼」でついて砕きます。
それを陶工がろくろを利用して形作り、「トビカンナ」や「ハケメ」の装飾を施します。
焼成も伝統的な登り窯を使います。周囲の山々から調達した薪を使って、2日半ほど焼きます。
窯を構えるのは9軒。親から子へと一子相伝の世襲制で受け継がれ、現在も続くのは300年前からの流れを汲んだ4姓、柳瀬・黒木・坂本・小袋(黒木系)だけです。
小鹿田焼が有名になったのは、昭和6年、民藝運動のリーダー柳宗悦(やなぎむねよし)が訪問したことから。柳は紀行文で「世界一の民陶」と評しました。
のちに世界的なイギリス人陶芸家のバーナード・リーチも滞在し、小鹿田焼の集落や風景を称賛しました。
昭和45年には、国の重要無形文化財に指定され、集落に響く唐臼の心地よい音は、「日本の音100選」にも選ばれています。
アクセス
九州まで
空路
大分空港ではなく、福岡空港を利用しましょう。大分空港よりも小鹿田焼の里へのアクセスがよいです。
電車
JR博多駅からJR日田駅を目指します。
日田市内から小鹿田焼の里へ
バス
JR日田駅のすぐ近くにある、日田バスセンターからシャトルバスで35分。祭り当日のみ特別運行されます。
車
JR日田駅から約30分。カーナビには住所「日田市源栄町里山」、または「小鹿田焼陶芸館」と入力するのがおすすめです。
「小鹿田」とだけ入力すると、ほかにもある地名ため別の場所に行ってしまう可能性もあるで気をつけて。
小鹿田焼の里は山深い場所にあり、日田市内からの道中は、細い山道をゆるやかに上っていきます。運転に自信がない場合は、シャトルバスやタクシーを使うのがおすすめです。
おわりに
小鹿田焼民陶祭は、たくさんのうつわの中から、手仕事ならではの味わいを実際に手にとって、見て選べる貴重な機会。のどかな里山の雰囲気にも癒やされます。
イベントに行けない、という方に。
当店は、”おうちに居ながら陶器市を楽しめる。”をコンセプトに、民藝のうつわを多数取り扱っています。
小鹿田焼も取り扱っていますので、よろしければ覗いてみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。皆さまがよい作品と出会えますように!