うつわに関する質問で多いのが、「電子レンジで使えますか?」というもの。
お気に入りのマグカップをそのままあたためたいけど大丈夫? もし割れてしまったらどうしよう。そんな風に思うことありますよね。
この記事では、電子レンジで使えるうつわとあわせて、オーブンで使えるうつわ・食洗機で使えるうつわの見分け方について解説していきます。
ふだんの生活でこんな時どうしたらいいの? と迷った時の参考にしてくださいね。
目次
電子レンジで使えるうつわの見分け方
電子レンジは、マイクロ波という電磁波を発生することで、食品をあたためます。
そのため、電磁波を反射してしまう金属、耐熱性のないプラスチックは原則使うことができません。(例外はあります)
つまり、電子レンジで使えるうつわを見分ける方法は、「素材」。
そのうつわが何でできているのかがポイントです。
熱に強いもの、電磁波の影響を受けない素材で作られているものなら使うことができます。
そうはいっても、基本は作家さんや窯元など、作り手さんの取扱いの指示に従ってお使いくださいね。
以下に、電子レンジで使えるうつわ・使えないうつわをまとめました。
電子レンジで使えるうつわ
陶器・磁器
陶磁器は窯の中で1000℃以上の熱で焼かれて作られます。電磁波を通す素材なので、あたため程度であれば、だいたい使えます。
ただ、使用している釉薬や製法によっては、器の底面がかなり熱くなったり、使えないものもあるので、商品の表記を確認しましょう。
*ただし、以下のものは使えません。
・ヒビや傷があるもの
・表面の装飾に金属や色絵が使用されているもの
※火花が出たり、塗装がはがれる恐れがあります。
耐熱ガラス
写真の中川政七商店のグラスは耐熱ガラス製
ガラス容器は表記に注意!
家庭用品品質表示法により、電子レンジで使用できるガラス容器には「電子レンジ用」の表記がされています。
この表示があれば、120℃以上の温度差に耐えられる製品ということになります。
「電子レンジ用」という表記のないガラス製品は電子レンジで使わないようにしましょう。
なお、電子レンジで使用できるガラス容器には「耐熱ガラス製器具」または「超耐熱ガラス製器具」(400℃以上の温度差も可)の表示もされています。
耐熱140℃以上のプラスチック、シリコンのうつわ
プラスチック全般が使えないイメージがありますが、耐熱性のあるものならOKです。
日本工業規格により、電子レンジで使用できる容器は表示耐熱温度が140度以上と定められています。
最近はデザインの凝ったプラスチックのうつわもあります。あたためてそのまま出せるのがいいですね。
電子レンジで使えないうつわ
金属のうつわ
金属はマイクロ波を反射し火花が飛び、この火花が火災の原因となります。
1本の鉄線でも事故につながることがありますので、電子レンジでの使用は止めましょう。
最近は、電磁波があたっても反射しない絵具が開発されたことから、電子レンジを使用できるものもあります。
また、電磁波が当たっても反射しない雲母(うんも)を表面に塗ったうつわも増えています。
プラスチックのうつわ
ポリエチレン、メラミン、フェノール、ユリア樹脂でできているうつわは電波で変形してしまいます。
同様に、耐熱140℃未満のプラスチックのうつわは溶けてしまいます。
また、プラスチック製で調理器具をかねたうつわには、本体は耐熱性で、フタは熱に弱いものがあります。使用前に確認しましょう。
漆器
漆器等の木製品は炭素が多く含まれており、電子レンジに入れると焦げや発火の危険があります。また、塗りがはげたりひび割れることがあります。
ただし、最近では電子レンジ使用可能の合成樹脂製の漆器もあります。
耐熱性のないガラスのうつわ
カットガラスや強化ガラスは溶けたり、割れたりします。
電子レンジの使用上の注意点
・温度差に注意
熱に強いうつわでも、急激な温度変化を与えてしまうと、割れたり欠けたりすることがあります。
レンジの使用後、すぐに水洗いしたりしないよう、取り扱いには十分気をつけましょう。
同様に冷蔵庫から出したばかりの冷たいうつわも常温になってからレンジに入れるようにしてください。
また、中に入れた食品の量が少ないと、急激にうつわの温度が上がり、割れることがあります。空焚きは厳禁です。
・油を多く使った料理のあたために注意
油ものや、糖分・塩分が多いタレがかかった食材を温める場合は、高温になりやすいです。
そのため、陶器・磁器の利用や、耐熱温度200℃以上のものを使いましょう。
プラスチック製のうつわ溶けてしまう可能性があるため注意が必要です。
・ワット数に注意
最近の電子レンジはワット数の高い商品もあります。取扱い方法を守って、決められた時間を使いましょう。
オーブンで使用できるうつわの見分け方
「電子レンジ対応」と「オーブン対応」の違い
電子レンジとオーブンはどちらも食品をあたためるもの。そのため、電子レンジで使えるものは、オーブンでも使えると思っていませんか?
しかし、電子レンジとオーブンでは、あたため方が違います。
電子レンジは電波で食品の分子を摩擦させて商品を加熱。オーブンは熱で内部を高温にして食品を加熱します。
電子レンジでは120~140℃程度、オーブンでは300℃程度の熱に対応できるうつわを選ぶ必要があるのです。一口に耐熱皿といっても、電子レンジで使えるものとオーブンで使えるものは違うので注意が必要です。
以下に、オーブンで「使えるうつわ、使えないうつわ」をまとめました。
オーブンで使えるうつわ
・陶磁器
基本的にはオーブン使用可能表記のある耐熱皿を使いましょう。
*色絵やひび、金・銀模様のあるものは使えません。
・耐熱のガラスのうつわ
オーブンで使えないうつわ
・プラスチック・シリコン素材のうつわ
・漆器
・木や竹のうつわ
・金属のうつわ・カトラリー
電子レンジで使えて、オーブンで使えないもの
耐熱温度が140℃以上の耐熱性プラスチック容器
食洗機で使えるうつわの見分け方
毎日の家事をラクにしてくれる食洗機。ただし、うつわによっては傷がついたり、専用洗剤で台無しになってしまうことも。
作家さんのうつわだと、手洗い推奨(食洗機NG)となっているうつわも多かったりします。
そのため、基本的には手洗いがおすすめですが、食洗機にいれるとどうなってしまうのでしょうか?
自宅の食洗機で、様々な器を入れて試しました。
その結果、「入れたら絶対に割れてしまう」ということはありませんでした。
なので、手洗い推奨だけど、概ね洗える。というのが結論です。
例えば、洗濯するとき、手洗い表記だけど、ネットに入れて洗濯機で洗ってしまうという方も多くいると思います。
それと似ていて、痛みは手洗いより早いし、破損のリスクは多少あるけど、洗えなくはない(でも自己責任で!)というかんじです。
ただし、これは使えない!というのもあります。
食洗機で使えるか見分けるポイントは、温度と水流です。
ここからは、食洗機を使うと危険な「使えないうつわ」をリストアップしました。食洗機は、うつわの破損やけがに注意して使いましょう。
食洗機で使えないうつわ
貫入食器(ひび割れ模様、ステンドグラス状の食器)
ひび割れのすき間から水分がしみ込み、カビや割れの原因になります。
木製のうつわ
水分を含んだ後に短時間で高温乾燥させることで、ひずみ、ひび割れ、変形、変色の原因になります。
漆器
熱風乾燥はひずみやひび割れの原因になります。また、高温で洗うことにより変色やはがれがおこります。
金箔や上絵付けされているものは、専用洗剤のアルカリ成分に反応して変色することがあります。
金属のうつわ
・銀、アルミ、銅:専用洗剤の成分により表面が白くなったり、黒ずみが生じることがあります。
・金やプラチナ:専用洗剤に反応し変色の恐れがあります。
・錫(すず):酸化して腐食します。
強化ガラス製のうつわ
急激な温度変化により、突然粉々になって破損することがあります。
食洗機内の破損は故障の原因になり、けがの恐れがあります。ただし、耐熱ガラスは使えます。
クリスタルグラス、カットグラス
急激な温度変化や衝撃に弱いため、食洗機には向いていません。
鉛の成分が含まれているため、表面が白くくもります。
徳利やビン
口が小さいので、中まで噴射が届かず洗えません。棒状のブラシやスポンジで手洗いがおすすめです。
耐熱温度90℃以下のうつわ
耐熱温度表示のない樹脂製品などは、熱の影響で変形・変色する恐れがあります。
軽量のうつわ
プラスチックのスプーンやふたなど、軽量なうつわは使わない方がいいでしょう。
ヒーターカバーに落ちると、発煙・焦げ・変形・においの原因となることがあります。
重箱の仕切りなど飛ばされやすい小物は、食洗機についている専用小物カゴを使いましょう。
専用洗剤で洗えないもの
洗剤容器の記載内容や、洗剤メーカーに確認してください。
食洗機は入れ方を注意
もろくて欠けやすい陶器や軽いうつわ、とがった形のうつわは、途中で動いたり、ほかのうつわと当らないようにしましょう。
色絵や金銀彩の磁器は強い水流で傷がつくおそれがあります。
食洗機専用の洗剤が変色の原因になることもあるので、絵付けがされている繊細なうつわは手洗いがおすすめです。
まとめ
以下に、電子レンジ・オーブン・食洗機で使用できるうつわをまとめました。
使えるかどうか迷ったら、ここだけでもお読みくださいね。
レンジ可 | 陶磁器・耐熱ガラス・耐熱プラスチック |
オーブン可 | 耐熱性の陶磁器・耐熱ガラス・金属素材(ステンレス・アルミ) |
食洗機可 | 陶磁器・耐熱ガラス・ステンレス |
※強化ガラス、カットガラス、金銀の彩色があるものなど、装飾があるもの・薄いもの・熱に弱いものはNGです。
おわりに
毎日の暮らしに欠かせない、電子レンジや食洗機。何も気にせず、うつわをそのまま入れることができれば便利ですよね。
今回の記事を読むことで、どんな素材のうつわが熱に強いのかなどが分かるようになります。お手入れが簡単で、調理もしやすいうつわ選びの参考にしてくださいね。